1.融資を検討する前に実施していただきたいこと
資金不足=資金調達(金融機関からの借入)を想定される経営者は多いですが、金融機関からの借入れを検討する前にすべきことは資金の流動性を確保することです。
そのために有効な策は以下の3つです。
1.売掛金・在庫の回転日数の見直し
売上債権の回収期間は、取引開始時の条件のまま、話し合うことなく商慣行的に継続している場合がほとんどですので、取引条件を再度チェックし、回収期間が極端に長いなど改善の余地があれば取引条件の見直しを検討することは十分に可能です。
同時に、回収できてない売掛金(不良債権)は無いか、回収期間の遅れはないかを一つ一つチェックすることでも資金繰りは改善します。
また、在庫を圧縮する(早期販売・在庫処分・廃棄など)ことで、売却益が期待できるだけでなく、倉庫代・在庫管理費などの固定費も削減できますのですぐにでも着手しましょう。
2.遊休資産の売却
収益に貢献していない不要・遊休資産も早期に処分することで、売却代金による借入金の返済や、維持管理コストの削減、固定資産税の減額などの効果が期待出来ます。早急に資産の洗い出しを行いましょう。
3.有価証券、保険積立金(貯蓄性保険)、定期預金の見直し
そして最後が、有価証券の売却や貯蓄性のある保険の解約、定期預金の解約・減額です。
あくまでも自己資金ですので調達調達コストが発生しませんので、新たに借入れを起こすのであれば優先的に検討すべきです。
2.金融機関へ融資申し込み&交渉
1.月次試算表
2.資金繰り表
3.中期経営計画の用意
会計事務所に依頼している会社であれば、ほぼ間違いなく作成していると思いますが、できるだけ早く前月実績を把握できなければ意味がありません。最低でも翌15日までには試算表を出してくれるよう、会計事務所に依頼しましょう。
もし無理という場合は、金融機関対策もあまり得意ではないでしょうから、私どもにご相談下さい。
資金繰り表は資金繰り実績と資金繰り予定の両方を把握するために必要です。最低でも3ヶ月、できれば6ヶ月先までの資金繰りを把握することは、資金繰り改善の絶対条件です。
3.中期経営計画(経営改善計画書)金融機関交渉を行うために中期経営計画(経営改善計画書)は必要不可欠です。なぜなら「今後の売上予測はわかりません」という企業に対し、金融機関が交渉に応じてくれるはずはないからです。
どこまで具体的に裏づけのある計画を作成できるかが、金融機関対策の肝となります。
新規融資を受けるには「借入申込書」を金融機関に提出して融資可否の判断を仰ぐことになりますが、その際に、先ほどの「資金繰り表」と「中期経営計画(経営改善計画書)」を添えて自社の現状と改善に向けての取り組みを説明することで、金融機関は親身に対応してくれることになります。
参考までに、新規融資はプロパー融資が理想ですが、難しい場合はビジネスローンや2008年10月スタートの
「緊急保証制度」なども検討しましょう。
リスケジューリング(リスケ)とは金融機関に依頼して毎月の元金返済を少なくしてもらう方法です。
入ってくるお金よりも出てゆくお金が多い状態(いわゆる出血している状態)の場合は、いくら新規に借入れをしても、流れ出る血を止めないことには、資金繰りの改善は困難です。そのために有効な方法が利スケジューリング(リスケ)です。
勿論、金融機関にリスケをお願いすればすべて応じてもらえる訳ではありませんが、2008年11月の「金融検査マニュアル別冊」が改訂され、金融機関の貸し出し条件が緩和されたことは、中小企業が金融機関と交渉を進める上では追い風と言えるでしょう。
リスケジューリングを進めるためには、「返済条件変更申込書」を作成&提出し、銀行に返済期間を延ばし、月々の返済金額を軽くしてくれるよう交渉しますが、この際にも「資金繰り表」と「中期経営計画(経営改善計画書)」の提出は不可欠です。
「金融機関に相談する前にプロフェッションズに相談」と書かせていただいたのは金融機関交渉に有利な資金繰り表と中期経営計画(経営改善計画書)作成に、ノウハウと実績があるからなのです。
リスケジューリングを実施してもなお、資金が厳しい場合は事業継続に影響の少ないものから返済を延期する方法も検討する必要があります。
検討可能な方法は、影響の少ないものから順に
1.銀行への返済
2.社会保険・税金
3.諸経費
4.買掛金
5.給与
となります。
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